AI活用概論

実践:用途別プロンプト設計

7プロンプト設計基礎:構造化手法と再現性の確保
概論AI活用ChatGPTGeminiClaude基礎から学ぶ

この節の目的は、ここまで学んだ 役割・条件・出力・構造化・再現性・エラー制御・テンプレート化 を、実際の用途に合わせて書き分けられるようになることです。

ここまでの節では、プロンプト設計の考え方を順番に学んできました。今回はそれを使って、目的に応じて違う型のプロンプトを作る練習をします。

この節で最初に覚えてほしい一文は、次の通りです。

良いプロンプトは、長い文章ではなく、用途に合う部品がそろった実用品である。

つまり、「丁寧に長く頼むこと」が目的ではありません。

大事なのは、その用途に必要な部品を選んで組み立てることです。

この節では、用途を三つに分けて実践します。

  • 説明する
  • 要約する
  • 添削する

この三つを押さえると、かなり多くの場面へ応用できます。

1. 実践の基本手順

用途別にプロンプトを作るときは、毎回この順番で考えると安定します。

  1. 何をさせたいか を一文で決める
  2. 誰向けか を決める
  3. どんな条件で 出してほしいかを書く
  4. どんな形式で返してほしいか を決める
  5. 必要なら 自己確認 を足す

つまり、プロンプト設計は「うまい言い回し」ではなく、必要な要素を落とさない順序が大切です。

2. 用途1:説明プロンプトを作る

最初は「説明する」仕事です。

説明プロンプトは、まだ知らない内容を相手が理解できる形へ変えるときに使います。

たとえば、次のような依頼はかなり弱いです。

光合成を説明して

これでは、

  • 誰向けか
  • どのくらいの長さか
  • どの程度やさしくするか
  • 箇条書きか文章か が決まっていません。

そこで、説明プロンプトとして組み立てます。

改善版

[役割]
あなたは中学生向け理科教材を作る先生です。

[タスク]
光合成の仕組みを説明してください。

[条件]
- 中学生向け
- 専門用語は使いすぎない
- 250字以内
- 具体例を1つ入れる

[出力形式]
- 箇条書き3点

この改善で見てほしいのは、役割・条件・出力形式 がそろったことです。

説明プロンプトでは特に、「誰向けか」と「どこまでやさしくするか」が重要です。

説明プロンプトでよく使う条件

  • 小学生向け / 中学生向け / 高校生向け
  • 専門用語は使いすぎない
  • 具体例を入れる
  • 原因と結果が分かるようにする
  • 〇字以内

手を動かす練習1

次の依頼を、説明プロンプトとして改善してください。

地震の仕組みを教えて

例解

[役割]
あなたは高校生向け地学教材を作る先生です。

[タスク]
地震の仕組みを説明してください。

[条件]
- 高校生向け
- 難しすぎる専門用語は減らす
- 300字以内
- 原因と結果を入れる

[出力形式]
- 箇条書き3点

3. 用途2:要約プロンプトを作る

次は「要約する」仕事です。

要約プロンプトは、長い情報から重要点を残しつつ短くしたいときに使います。

たとえば、次の依頼は弱いです。

この文章を短くして

これでは、

  • どのくらい短くするのか
  • 誰向けなのか
  • 何を残すべきなのか
  • どんな形式で返すのか が分かりません。

そこで、要約プロンプトとして組み立てます。

改善版

[役割]
あなたは高校生向け教材を編集する先生です。

[タスク]
以下の文章を要約してください。

[条件]
- 高校生向け
- 200字以内
- 重要点を2つ残す
- 入力文にない情報は追加しない

[出力形式]
- 箇条書き2点

[自己確認]
出力前に次を確認してください。
- 200字以内か
- 箇条書き2点か
- 高校生向けの語彙か

要約プロンプトでは特に、何を残すか何を増やさないか が重要です。

説明と違って、要約では「勝手な補足」が品質を落とすことがあります。

要約プロンプトでよく使う条件

  • 〇字以内
  • 要点を2つ / 3つ残す
  • 入力文にない情報は追加しない
  • 背景が分かるようにする
  • 専門用語は減らす

手を動かす練習2

次の依頼を、要約プロンプトとして改善してください。

このニュースをまとめて

例解

[役割]
あなたは高校生向け時事教材を編集する先生です。

[タスク]
以下のニュース記事を要約してください。

[条件]
- 高校生向け
- 250字以内
- 背景が分かるようにする
- 重要点を3つ残す
- 入力文にない情報は追加しない

[出力形式]
- 箇条書き3点

4. 用途3:添削プロンプトを作る

三つ目は「添削する」仕事です。

添削プロンプトは、すでにある文章を読みやすくしたり、伝わりやすくしたりするときに使います。

たとえば、次の依頼はかなり広すぎます。

この文章を直して

これでは、

  • 何をどう直すのか
  • 意味は変えてよいのか
  • 読み手は誰なのか
  • どのように返すのか が分かりません。

そこで、添削プロンプトとして組み立てます。

改善版

[役割]
あなたは高校生向け文章を添削する編集者です。

[タスク]
以下の文章を添削してください。

[条件]
- 元の意味は変えすぎない
- 読みやすさを上げる
- 冗長な表現を減らす
- 高校生が一読で理解しやすい表現にする

[出力形式]
- 修正文
- その下に改善ポイントを3つ箇条書き

添削プロンプトでは特に、何を守るか が大切です。

改善しすぎて、元の意味を壊してしまうことがあるからです。

添削プロンプトでよく使う条件

  • 元の意味は変えすぎない
  • 読みやすさを上げる
  • 冗長表現を減らす
  • 丁寧な文体にする
  • 強みが伝わるようにする

手を動かす練習3

次の依頼を、添削プロンプトとして改善してください。

自己紹介文をよくして

例解

[役割]
あなたは就職活動向け文章を添削するキャリアアドバイザーです。

[タスク]
以下の自己紹介文を改善してください。

[条件]
- 強みが伝わるようにする
- 丁寧な文体にする
- 長すぎる表現を減らす
- 内容を盛りすぎない

[出力形式]
- 改善後の自己紹介文
- 改善ポイントを3つ箇条書き

5. 説明・要約・添削の違いを見分ける

この三つは混ざりやすいです。

ですが、目的が違います。

説明

  • まだない説明を新しく作る
  • 目的は理解を助けること

要約

  • 元の情報を圧縮する
  • 目的は重要点を残して短くすること

添削

  • すでにある文章を改善する
  • 目的は意味を保ちつつ質を上げること

同じ「文章を扱う仕事」でも、用途が違えば、プロンプト設計も変わります。

手を動かす練習4

次の依頼が「説明・要約・添削」のどれに近いか考えてください。

  1. 教科書の内容を中学生向けに話し直す
  2. 長い記事を200字にまとめる
  3. 自分で書いた作文を読みやすく直す

例解

  1. 説明
  2. 要約
  3. 添削

6. 用途別プロンプト設計でよくある失敗

6-1. 用途を決めずに書き始める

説明したいのか、短くしたいのか、直したいのかが曖昧だと、プロンプトも曖昧になります。

最初に「この依頼は何系か」を決めるのが大切です。

6-2. 条件を使い回しすぎる

説明に向く条件と、要約に向く条件は少し違います。

たとえば、要約では「入力文にない情報は追加しない」が重要ですが、説明では具体例を入れるほうが大事なことがあります。

6-3. 出力形式を最後まで決めない

説明なら箇条書きか段落か、要約なら要点数はいくつか、添削なら修正文だけか改善ポイントも付けるか。

ここを決めないと、かなりぶれます。

7. ミニ実践:悪いプロンプトを直す

次の悪いプロンプトを見てください。

理科の内容をわかりやすくして

この依頼には、少なくとも次が足りません。

  • 誰向けか
  • どんな用途か
  • どんな形式で返すか
  • どのくらいの長さか 改善版の一例はこうです。
[役割]
あなたは中学生向け理科教材を作る先生です。

[タスク]
以下の理科の内容をわかりやすく説明してください。

[条件]
- 中学生向け
- 専門用語は必要最小限
- 250字以内
- 日常の例を1つ入れる

[出力形式]
- 箇条書き3点

見てほしいのは、きれいな言い回しではなく、用途に必要な部品がそろったことです。

8. 実践用の最小テンプレート

この節の実践で使う最小テンプレートは、次です。

[役割]
あなたは[役割]です。

[タスク]
[説明 / 要約 / 添削のどれか]をしてください。

[条件]
- [対象読者]
- [長さ]
- [含めること / 避けること]

[出力形式]
- [形式]

このテンプレートだけでも、かなり多くの依頼が安定します。

用途ごとに切り替えて練習しやすいので、この後の演習にも使いやすいです。

9. この節で持ち帰ること

この節で持ち帰ってほしいことは、次の四つです。

  • 用途が違えば、プロンプト設計も変わる
  • 説明・要約・添削は、それぞれ目的が違う
  • 役割・条件・出力形式は、用途に合わせて選ぶ必要がある
  • 良いプロンプトは、長い文章ではなく、用途に必要な部品がそろったもの

まとめ

この節では、説明・要約・添削 の三つを例に、用途別プロンプト設計を学びました。

大事だったのは、長く書くことではなく、目的に合わせて、役割、条件、出力形式を選び分けることです。

同じ「文章を扱う仕事」でも、説明と要約と添削では設計のしかたが違うと分かれば、この節の目的は達成できています。

次の 3-8 では、この実践をさらに進めて、品質改善の演習を行います。

つまり、今回は「用途に合わせて作る」、次は「作ったものを見て直す」です。

練習問題

問題1

説明・要約・添削の違いを、それぞれ一文で説明してください。

問題2

次の依頼を、説明プロンプトとして改善してください。

火山を説明して

問題3

次の依頼を、要約プロンプトとして改善してください。

この文章を短くして

問題4

次の依頼を、添削プロンプトとして改善してください。

この自己紹介文を直して

問題5

次の依頼は、説明・要約・添削のどれに最も近いですか。

ニュース記事の重要点だけを200字でまとめる

練習問題の答え

答え1

例です。

説明は新しく理解しやすい内容を作ること、要約は元の情報を短く整理すること、添削は元の文章を改善することです。

答え2

例です。

[役割]
あなたは高校生向け地学教材を作る先生です。

[タスク]
火山の仕組みを説明してください。

[条件]
- 高校生向け
- 300字以内
- 専門用語は使いすぎない
- 具体例を1つ入れる

[出力形式]
- 箇条書き3点

答え3

例です。

[役割]
あなたは高校生向け教材を編集する先生です。

[タスク]
以下の文章を要約してください。

[条件]
- 高校生向け
- 200字以内
- 重要点を2つ残す

[出力形式]
- 箇条書き2点

答え4

例です。

[役割]
あなたは就職活動向け文章を添削するキャリアアドバイザーです。

[タスク]
以下の自己紹介文を添削してください。

[条件]
- 強みが伝わるようにする
- 丁寧な文体にする
- 長すぎる表現を減らす

[出力形式]
- 改善後の自己紹介文
- 改善ポイントを3つ箇条書き

答え5

要約です。

元の情報を短く整理して、重要点だけを残す用途だからです。

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