次章への接続:プロンプト設計からテキスト生成へ
この節の目的は、第3章で学んだ プロンプト設計の考え方 を、次章で扱う テキスト生成の実践 へつなぐことです。
ここまでで、プロンプトは思いつきの文章ではなく、役割・条件・出力形式を整理した入力設計だと学びました。
ここから先は、その設計を使って、実際に 説明文、案内文、要約文、紹介文、自己紹介文 などの文章を作る段階へ進みます。
この節で最初に覚えてほしい一文は、次の通りです。
テキスト生成の品質は、文章力だけでなく、入力設計の質で大きく変わる。
つまり、次章で大事なのは「AIに文章を書かせること」そのものではありません。
大事なのは、誰向けに、何のために、どんな形式で、どのくらいの密度で書かせるか を先に決めることです。
1. 第3章で学んだことは何だったのか
ここまでの 3-1 から 3-8 で学んだことを、三つにまとめ直します。
1-1. プロンプトは入力設計である
最初に学んだのは、プロンプトは単なる質問文ではなく、出力を設計するための入力だということでした。
「何をしてほしいか」だけではなく、
「誰向けか」
「どんな条件か」
「どんな形式で返してほしいか」
まで含めて考える必要がありました。
1-2. 良いプロンプトは再現性を持つ
一度だけうまくいくのではなく、次も似た品質で出しやすいことが重要でした。
そのために、役割、条件、出力形式、例、自己確認などを明示して、ぶれにくい設計を学びました。
1-3. 品質は反復で上がる
最後に学んだのは、プロンプトは一回で完成するものではないということでした。
出力を見て、どこがずれたかを観察し、足す・削る・分けるで改善する。
この反復が、品質向上の中心でした。
この三つが見えていれば、次章はかなり入りやすくなります。
2. なぜ次が「テキスト生成」なのか
ここまでの章では、主に「どう指示するか」を学びました。
では次に何をするべきかというと、その指示を使って、実際に価値ある文章を作る段階へ進むことです。
テキスト生成といっても、実際にはかなり幅があります。
- 説明文
- 要約文
- 案内文
- メール文
- 紹介文
- キャプション
- FAQ
- 台本
- 提案文
- 自己紹介文
つまり、次章は「AIが文章を書く章」ではなく、プロンプト設計を使って、用途に合う文章を作る章です。
3. テキスト生成の前に起きやすい誤解
次章へ入る前に、初心者が持ちやすい誤解を三つ整理しておきます。
3-1. 長く頼めば良い文章になる
長いだけのプロンプトは、必ずしも良い結果につながりません。
必要なのは長さではなく、整理された条件です。
3-2. AIが勝手にいい感じに整えてくれる
もちろん、ある程度は整えてくれます。
ですが、「誰向けか」「何のためか」「どんな形式か」が曖昧だと、出力はかなりぶれます。
3-3. テキスト生成は一回勝負である
実際には逆です。
出力を見て、長さ、文体、構成、情報量を少しずつ調整していくほうが自然です。
つまり、次章でも第3章と同じく、生成して終わりではなく、見て直すことが大切です。
4. 次章で文章を作る前に決めるべきこと
次章でテキスト生成を行うとき、最初に決めるべきことは次の四つです。
4-1. 誰向けの文章か
高校生向けか、保護者向けか、一般顧客向けかで、語彙も長さも変わります。
これは第3章で学んだ「読者適合」の話そのものです。
4-2. 何の目的の文章か
説明したいのか、納得させたいのか、行動してほしいのかで、文章構成は変わります。
説明文、告知文、営業文、自己紹介文は、同じ文章でも目的が違います。
4-3. どんな形式でほしいか
箇条書きか、段落文か、Q&Aか、見出し付きか。
形式を決めると、生成結果はかなり安定します。
4-4. どこまで入力に縛るか
元の文章だけをもとに書いてほしいのか、一般知識も使ってよいのか。
この境界が曖昧だと、勝手な補足が入りやすくなります。
この四つはすべて、第3章で扱った 役割・条件・出力・制約 の延長です。
5. 具体例で見る「次章でやること」
たとえば、次章ではこんな変換ができるようになります。
例1:説明文生成
雑な依頼です。
電気自動車について説明して
これを次章では、たとえば次のように設計してから生成します。
あなたは高校生向け社会課題教材を作る先生です。
電気自動車について、高校生向けに、300字以内で、
メリットと注意点の両方が分かるように説明してください。
出力は箇条書き3点でお願いします。
例2:案内文生成
雑な依頼です。
イベント案内を書いて
これを次章では、こう変えられます。
あなたは学校行事の広報担当です。
文化祭の案内文を、高校生向けに、明るい文体で、
200字以内にまとめてください。
日時・場所・参加メリットを入れ、文章1段落で出力してください。
例3:自己紹介文生成
雑な依頼です。
自己紹介を書いて
これも次章では、こう設計できます。
あなたは就職活動向け文章を作るキャリアアドバイザーです。
大学生向けの自己紹介文を、200字程度で作成してください。
強みが伝わる丁寧な文体にし、文章1段落で出力してください。
ここで見てほしいのは、第3章で学んだことだけで、すでにかなり 生成向けの依頼 が書けるということです。
6. 次章で伸ばす力
次章で本格的に伸ばす力は、主に次の三つです。
6-1. 文章の種類ごとに書き分ける力
説明文、要約文、案内文、紹介文、比較文など、目的ごとにプロンプトを変える力です。
6-2. 出力トーンを調整する力
かたい、やわらかい、丁寧、親しみやすい、信頼感重視など、文体を調整する力です。
6-3. 素材から最終文へ変換する力
メモ、箇条書き、記事、会議録、下書きなどの元データから、使える文章へ変える力です。
ここまで学んだことがあるので、次章では「何を書けばよいか分からない」ではなく、どう作れば使える文章になるかへ意識を移せます。
7. 手を動かす練習1
次の雑な依頼を、次章で扱う「テキスト生成向けの依頼」へ改善してください。
自己紹介を書いて
例解
あなたは就職活動向けの文章を作るキャリアアドバイザーです。
大学生向けの自己紹介文を、200字程度で作成してください。
強みが伝わる丁寧な文体にし、文章1段落で出力してください。
ここで見てほしいのは、役割、対象、長さ、トーン、形式が入っていることです。
つまり、第3章の内容だけで、かなり次章に入れるということです。
8. 手を動かす練習2
次の依頼は、どんな文章生成に向いているか考えてください。
中学生向けに、地球温暖化を説明してください。
例解
この依頼は、説明文生成 に向いています。
ここへさらに条件を足すと、次章の教材で扱う完成形に近づきます。
たとえば、
- 250字以内
- 箇条書き3点
- 専門用語は使いすぎない
- 原因と対策を入れる などを足せます。
9. この章のまとめ
第3章全体を一言で言い換えるなら、こうなります。
AIに文章を書かせる前に、AIが迷わない条件を作る章。
この見方が持てれば、次章のテキスト生成でも「なぜこの条件が必要なのか」が自然に分かります。
10. まとめ
この節では、第3章から次章のテキスト生成への接続を整理しました。ここまでで学んだ役割、条件、出力形式、構造化、再現性、品質改善、テンプレート化は、すべて次章の文章生成でそのまま使います。
つまり、次章はまったく新しい話ではありません。
第3章で作った「設計図」を使って、実際に文章を作る章です。
今回は橋をかけたので、次はその橋を渡って、説明文、案内文、要約文、紹介文などの実践へ進めます。
練習問題
問題1
なぜ第3章の次にテキスト生成を学ぶのが自然なのか、一文で説明してください。
問題2
次の依頼に足りないものを二つ書いてください。
イベント案内を書いて
問題3
次のうち、次章のテキスト生成向けとしてより適切なのはどちらですか。
A
要約して
B
あなたは高校生向け教材を編集する先生です。
以下の文章を、高校生向けに、200字以内で、
重要点を2つ残して要約してください。
出力は箇条書き2点でお願いします。
問題4
テキスト生成の前に決めるべきことを二つ書いてください。
問題5
次の依頼を、次章向けに改善してください。
地震の説明を書いて
練習問題の答え
答え1
例です。
第3章で学んだ入力設計を使うと、次章で文章生成をより意図どおりに行えるからです。
答え2
例です。
- 誰向けかがない
- 長さがない
- 文体がない
- 出力形式がない
答え3
B です。
役割、対象、長さ、残す要点数、出力形式が明示されていて、文章生成の方向が安定しやすいからです。
答え4
例です。
- 誰向けか
- 何の目的か
- どんな形式で返すか
- どこまで入力に縛るか
のうち二つ以上が書ければよいです。
答え5
例です。
あなたは高校生向け地学教材を作る先生です。
地震の仕組みを、高校生向けに、250字以内で説明してください。
原因と結果が分かるようにし、出力は箇条書き3点でお願いします。
