画像編集2:背景を変えて作品を見せやすくする
この節で学ぶこと
前の節では、手元の写真をアップロードして、明るさや雰囲気を整える方法を学びました。
今回は、さらに一歩進んで、写真の背景を整理したり、別の背景に変えたりする方法を学びます。
この節で新しく習得する技術は、次の1つです。
背景変更・背景整理の指示を作る
背景変更とは、写真の主役は残したまま、周りの背景を別の雰囲気に変えることです。
たとえば、次のような使い方ができます。
| 元の写真 | 背景変更後のイメージ |
|---|---|
| 机の上で撮った作品写真 | 白背景のポートフォリオ風画像 |
| 部屋で撮った小物写真 | 雑誌の商品紹介風画像 |
| スマホで撮ったアプリ画面 | きれいなデスク上のモックアップ画像 |
| ハンドメイド作品の写真 | 展示会やショップ風の背景 |
| 食べ物の写真 | カフェのテーブル上にあるような雰囲気 |
ただし、背景を変えるときに大切なのは、主役を変えないことです。
作品や商品そのものが変わってしまうと、実際に作ったものと違う画像になってしまいます。
なぜ背景変更を学ぶのか
作品や商品を写真に撮るとき、いつも理想的な場所で撮影できるとは限りません。
たとえば、こんなことがあります。
作品はできたけど、写真を撮った場所が生活感のある机だった。
背景に関係ないものが写ってしまった。
部屋が暗くて、作品がきれいに見えない。
提出資料に載せたいけど、そのままだと少し雑に見える。
このようなとき、画像生成AIで背景を整えると、作品を見せやすくできます。
特に専門学生にとっては、次の場面で役立ちます。
| 場面 | 背景変更が役立つ理由 |
|---|---|
| ポートフォリオ制作 | 作品をきれいに見せられる |
| 授業発表 | 画像を資料に載せやすくなる |
| SNS投稿 | 投稿の雰囲気を整えられる |
| 就職活動 | 制作物を見やすく提出できる |
| アルバイト先への提案 | 商品や店内の見せ方案を作れる |
今回作るもの
今回は、次のような画像を作ります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 作るもの | 背景を整理した作品紹介画像 |
| 入力 | 手元の写真、作品写真、商品写真、スクリーンショット |
| 使う場所 | ポートフォリオ、発表資料、SNS投稿 |
| 目的 | 主役を変えずに、背景を整えて見やすくする |
| 注意点 | 作品そのものを変えない。実在しない情報を追加しない |
今回のテーマ
授業では、例として次のテーマを使います。
机の上で撮った作品写真を、ポートフォリオ用の白背景画像に整える
目指す完成イメージは、次のようなものです。
主役の作品はそのまま。
背景だけを白やライトグレーの清潔感ある雰囲気に変える。
作品の周りに余白を作り、ポートフォリオや発表資料に載せやすくする。
1. 背景変更で大切な3つのこと
1. 主役を明確にする
背景を変えるときは、まず「何を残したいのか」を決めます。
AIにとって、写真の中で何が主役なのかが曖昧だと、残したいものまで変わってしまうことがあります。
たとえば、次のように書くと伝わりやすくなります。
主役は、中央に写っているスマートフォンです。
スマートフォンの形、色、画面内容は変えないでください。
背景だけを変更してください。
または、
主役は、手前にあるハンドメイドアクセサリーです。
アクセサリーの形、素材感、色は変えず、背景だけを白い展示台風にしてください。
「主役」と「変えない部分」を書くことが重要です。
2. 背景の目的を決める
背景は、ただ消せばいいわけではありません。
どんな背景にするかによって、画像の印象が変わります。
| 背景の方向性 | 向いている場面 |
|---|---|
| 白背景 | ポートフォリオ、提出資料、商品紹介 |
| ライトグレー背景 | 落ち着いた作品紹介 |
| 木のテーブル | カフェ、雑貨、食品、温かい雰囲気 |
| 展示会風 | 作品発表、ハンドメイド、卒業制作 |
| デスク上 | アプリ、Webサイト、学習記録 |
| 自然光の部屋 | SNS、ライフスタイル系投稿 |
今回の基本は、使いやすい白背景・ライトグレー背景です。
3. 背景だけを変えると指示する
背景変更でよくある失敗は、AIが主役まで変えてしまうことです。
たとえば、
作品をもっとおしゃれにしてください。
と指示すると、作品自体の形や色が変わることがあります。
そのため、次のように具体的に書きます。
背景だけを変更してください。
作品そのものの形、色、文字、レイアウト、質感は変えないでください。
この一文を入れるだけで、失敗を減らせます。
2. 背景変更前に目的を整理する
まず、写真をアップロードする前に、背景をどう変えたいのか整理します。
ワークシート1:背景変更の設計メモ
編集したい写真:
主役:
使う場所:
見せたい相手:
変えたい背景:
残したいもの:
変えたくないもの:
仕上げたい雰囲気:
画像サイズ:
記入例
編集したい写真:
机の上で撮ったアプリ画面の写真
主役:
スマートフォンに表示された自作アプリの画面
使う場所:
ポートフォリオサイト、授業発表資料
見せたい相手:
先生、採用担当者、クラスメイト
変えたい背景:
散らかった机の背景を、白とライトグレーの清潔感ある背景に変えたい
残したいもの:
スマートフォン本体、アプリ画面、画面の色、レイアウト
変えたくないもの:
アプリの文字、ボタン、配色、画面構成
仕上げたい雰囲気:
清潔感があり、作品が見やすい、少しプロっぽい雰囲気
画像サイズ:
16:9
3. Nano Bananaに写真をアップロードする
ここから実際に手を動かします。
作業手順
1. Google AI Studioを開く
2. 画像編集に対応したモデルを選ぶ
3. 編集したい写真をアップロードする
4. 背景変更用のプロンプトを入力する
5. 画像を生成する
6. 編集前と編集後を比較する
写真をアップロードするときは、主役ができるだけはっきり写っているものを選びます。
主役がぼやけていたり、端で切れていたりすると、編集後も不自然になりやすいです。
4. 背景変更用プロンプトを作る
悪いプロンプト例
背景をいい感じにしてください。
これだと、どんな背景にしたいのか分かりません。
AIが勝手に派手な背景を追加したり、作品そのものを変えてしまう可能性があります。
良いプロンプト例
この写真の背景だけを変更してください。
主役は、中央に写っているスマートフォンと、その画面に表示されている自作アプリです。
スマートフォンの形、色、画面内容、文字、ボタン、レイアウトは変更しないでください。
現在の散らかった机の背景を、白とライトグレーを中心にした清潔感のある背景に変更してください。
ポートフォリオサイトや授業発表資料に載せやすい、明るく見やすい雰囲気にしてください。
スマートフォンの周りには少し余白を作ってください。
新しい文字、ロゴ、架空の機能、装飾アイコンは追加しないでください。
ポイント解説
| 指示 | 役割 |
|---|---|
| 背景だけを変更 | 主役が変わるのを防ぐ |
| 主役を指定 | AIが何を残すか理解しやすくする |
| 画面内容を変えない | 作品の正確性を守る |
| 白とライトグレー | ポートフォリオ向けに整える |
| 余白を作る | 資料やWebに載せやすくする |
| 文字やロゴを追加しない | 不自然な追加を防ぐ |
5. 生成画像をチェックする
背景変更後の画像を確認します。
チェックリスト
| 確認項目 | ○ / △ / × | メモ |
|---|---|---|
| 背景が整理されている | ||
| 主役が変わっていない | ||
| 作品の色が大きく変わっていない | ||
| 文字や画面内容が変わっていない | ||
| 不自然な影や反射がない | ||
| 新しいロゴや文字が追加されていない | ||
| ポートフォリオに載せやすい | ||
| 余白がある | ||
| 全体が明るく見やすい | ||
| 元の作品より魅力が伝わる |
ワークシート2:背景変更後の振り返り
背景変更前の問題点:
背景変更後に良くなった点:
主役は変わっていないか:
気になった点:
さらに直したいこと:
記入例
背景変更前の問題点:
机の上に関係ない物が多く、スマートフォン画面に集中しにくかった。
背景変更後に良くなった点:
背景が白とライトグレーになり、アプリ画面が見やすくなった。
ポートフォリオに載せやすい雰囲気になった。
主役は変わっていないか:
スマートフォンの形はほぼ変わっていない。
ただし、画面内の文字が一部変わっているように見える。
気になった点:
作品の画面内容が少し変わっているため、提出用としてはそのまま使いにくい。
さらに直したいこと:
スマートフォン画面の内容は元画像のまま残し、背景だけを変更したい。
6. 改善プロンプトを作る
背景がきれいになっても、主役が変わってしまった場合は修正します。
改善プロンプト例
背景はきれいになりました。
ただし、スマートフォン画面の内容が元の写真から変わっているため、画面内容は変更しないでください。
スマートフォンの画面、文字、ボタン、配色、レイアウトは元画像のまま残してください。
編集するのは背景だけにしてください。
背景は白とライトグレーの清潔感ある雰囲気に整え、スマートフォンの周りに余白を作ってください。
新しい文字、ロゴ、架空のアプリ機能は追加しないでください。
ワークシート3:自分用の改善プロンプト
残したい点:
直したい点:
絶対に変えたくない点:
改善プロンプト:
7. 2回目を生成する
改善プロンプトを使って、もう一度生成します。
比較表
| 比較項目 | 元画像 | 1回目 | 2回目 |
|---|---|---|---|
| 背景の整理 | |||
| 主役の正確さ | |||
| 画面内容の正確さ | |||
| 色の自然さ | |||
| 余白 | |||
| ポートフォリオ向き |
振り返り
2回目で良くなった点:
まだ気になる点:
実際に使うならどの画像を選ぶか:
その理由:
8. 背景別プロンプト集
ここでは、使う場所に合わせた背景変更プロンプトを紹介します。
1. 白背景のポートフォリオ風
この写真の背景だけを、白とライトグレーを中心にした清潔感のある背景に変更してください。
主役の作品は変更しないでください。
作品の形、色、文字、レイアウト、質感は元画像のまま残してください。
ポートフォリオに載せやすい、明るく見やすい画像にしてください。
新しい文字やロゴは追加しないでください。
2. 展示会風の背景
この写真の背景だけを、シンプルな展示会のような空間に変更してください。
主役の作品は変更しないでください。
作品の形、色、素材感は元画像のまま残してください。
背景は白い壁、やわらかい照明、落ち着いた展示台のある雰囲気にしてください。
作品が主役として見えるようにしてください。
3. カフェ風の背景
この写真の背景だけを、自然光が入るカフェのテーブル上の雰囲気に変更してください。
主役の商品や作品は変更しないでください。
形、色、質感は元画像のまま残してください。
木のテーブル、やわらかい光、落ち着いた背景にしてください。
店名、価格、文字、ロゴは追加しないでください。
4. デスク作業風の背景
この写真の背景だけを、学生が作業している清潔感のあるデスク環境に変更してください。
主役の作品は変更しないでください。
作品の形、色、文字、レイアウトはそのまま残してください。
背景にはノート、ペン、ノートPCなどを自然に配置し、制作活動の雰囲気が伝わるようにしてください。
ただし、背景はごちゃごちゃさせず、主役が見やすいようにしてください。
9. 専門学生におすすめの使い方
背景変更は、かなり実用的です。
使える場面
| 場面 | 使い方 |
|---|---|
| ポートフォリオ | 作品写真の背景を整える |
| 卒業制作 | 展示前のイメージ画像を作る |
| 授業発表 | 作品画像をスライドに載せやすくする |
| SNS投稿 | 写真の生活感を減らす |
| ハンドメイド販売 | 商品写真の背景を整える |
| アルバイト先 | 商品投稿案を作る |
思ってもみない便利な使い方
1. 部屋で撮った作品を展示会風に見せる
自宅や教室で撮った作品でも、背景を展示会風にすることで、発表資料に使いやすくなります。
この作品を、展示会の白い壁の前に置かれているような背景にしてください。
作品そのものは変えないでください。
卒業制作や作品発表の資料に使いやすいです。
2. スクリーンショットをデスク上の作品画像にする
自分で作ったWebサイトやアプリのスクリーンショットを、ただ貼るだけでなく、デスク上の画面として見せることもできます。
このスクリーンショットを、ノートPCの画面に表示されているような作品紹介画像にしてください。
スクリーンショットの内容は変えないでください。
背景は清潔感のあるデスクにしてください。
ポートフォリオの見栄えが良くなります。
3. 商品写真を投稿しやすくする
アルバイト先や自分の作品販売で、商品写真の背景を変えると、SNS投稿に使いやすくなります。
この商品写真の背景だけを、自然光が入る木のテーブルに変更してください。
商品そのものの形や色は変えないでください。
4. 企画段階のイメージ共有に使う
まだ実際の会場や展示スペースが決まっていなくても、イメージ共有として使えます。
この作品を、学校の展示スペースに飾られているようなイメージにしてください。
作品そのものは変えず、背景だけを展示スペース風にしてください。
企画書や発表資料で、相手にイメージを伝えやすくなります。
10. 実習課題
課題内容
手元の写真を1枚選び、背景だけを整理・変更してください。
写真がない場合は、スマホで次のどれかを撮影します。
| 番号 | 撮影するもの |
|---|---|
| 1 | 自分の作品 |
| 2 | アプリやWebサイトの画面 |
| 3 | ノートや制作メモ |
| 4 | 小物や雑貨 |
| 5 | 商品風に見せたいもの |
| 6 | 自分で決めたもの |
背景の選択肢
| 番号 | 背景 |
|---|---|
| 1 | 白背景・ライトグレー背景 |
| 2 | 展示会風 |
| 3 | カフェ風 |
| 4 | デスク作業風 |
| 5 | SNS投稿向け |
| 6 | 自分で決めた背景 |
提出するもの
1. 元の写真
2. 何を主役として残したいか
3. どんな背景に変えたいか
4. 1回目の背景変更プロンプト
5. 1回目の編集後画像
6. 気になった点
7. 改善プロンプト
8. 2回目の編集後画像
9. 主役を変えないために注意した点
10. 実際にどこで使えそうか
提出テンプレート
元の写真:
主役:
使う場所:
変えたい背景:
1回目の背景変更プロンプト:
1回目の編集後画像を見て良かった点:
1回目の編集後画像で気になった点:
改善プロンプト:
2回目の編集後画像を見て良くなった点:
主役を変えないために注意した点:
実際にどこで使えそうか:
11. この節のまとめ
この節では、手元の写真の背景を整理したり、別の背景に変えたりする方法を学びました。
大切なポイントは、次の通りです。
- 背景変更では、まず主役を明確にする。
- 何を変えて、何を変えないかを具体的に書く。
- 作品そのものの形、色、文字、レイアウトは変えない。
- 背景だけを白背景、展示会風、カフェ風、デスク風などに変える。
- ポートフォリオや発表資料では、清潔感と見やすさを大切にする。
- 生成後は、主役が変わっていないか必ず確認する。
- 背景がきれいでも、作品内容が変わっていたら使わない。
- 背景変更は、作品紹介、SNS投稿、商品紹介、企画書づくりに使える。
次の節では、自分の作品やアプリを、ポートフォリオで魅力的に見せるためのメインビジュアルを作ります。
ただ写真を整えるだけでなく、「採用担当者や先生にどう見せるか」を考えながら、作品紹介用の画像を作っていきます。
