プロンプトの型:失敗しにくい指示文を作る
この節で学ぶこと
前の節では、Google AI StudioとNano Bananaを使って、文章から画像を作る基本を学びました。
今回は、画像生成AIに出す指示文である「プロンプト」を、もっと使いやすい形に整理します。
画像生成AIは、短い指示でも画像を作ってくれます。
しかし、指示が曖昧だと、思っていた雰囲気と違う画像になったり、使いにくい構図になったりします。
そこでこの節では、失敗しにくいプロンプトの型を学びます。
今回、新しく習得する技術は次の2つです。
1. 画像生成プロンプトを「型」に沿って作る
2. 生成結果を見て、改善プロンプトを作る
この節は、説明よりも手を動かす時間を多めに取ります。
実際に自分のテーマを決めて、プロンプトを作り、画像を生成し、改善指示まで作成します。
この節のゴール
この節の最後には、次のことができるようになります。
| 到達目標 | 内容 |
|---|---|
| プロンプトの型を理解できる | 何をAIに伝えればよいか分かる |
| 自分のテーマでプロンプトを作れる | 授業発表・SNS・作品紹介などに応用できる |
| 生成結果をチェックできる | 良い点と直したい点を見つけられる |
| 改善指示を作れる | 1回目の画像をもとに、より使いやすい画像へ近づけられる |
授業時間の使い方
この節は、次の流れで進めます。
| 時間 | 内容 |
|---|---|
| 5分 | プロンプトの型を理解する |
| 10分 | 自分のテーマを決める |
| 15分 | 1回目のプロンプトを作る |
| 10分 | Nano Bananaで画像を生成する |
| 10分 | 生成結果をチェックする |
| 15分 | 改善プロンプトを作り、再生成する |
| 10分 | 改善前・改善後を比較する |
| 5分 | 振り返りを書く |
合計で約80分を想定しています。
1. プロンプトとは何か
プロンプトとは、AIに出す指示文のことです。
画像生成AIの場合、プロンプトは「どんな画像を作ってほしいか」を伝える文章です。
たとえば、次のようなものです。
授業発表の表紙に使う16:9の画像を作成してください。
テーマは「AIを使った未来の働き方」です。
明るく、前向きで、専門学生の発表らしい雰囲気にしてください。
これでも画像は作れます。
しかし、もう少し具体的にすると、より使いやすくなります。
2. 失敗しにくいプロンプトの型
この授業では、まず次の型を使います。
何を作るか:
どこで使うか:
誰に見せるか:
伝えたいこと:
主役:
背景:
雰囲気:
色:
構図:
入れたくないもの:
画像サイズ:
この型を使うと、画像生成AIに必要な情報を整理して伝えられます。
それぞれの意味
| 項目 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| 何を作るか | 画像の種類 | スライド表紙、SNS画像、ポスター背景 |
| どこで使うか | 使用場所 | 授業発表、Instagram、ポートフォリオ |
| 誰に見せるか | 見る人 | 先生、クラスメイト、採用担当者 |
| 伝えたいこと | 画像の目的 | 便利そう、楽しそう、信頼できそう |
| 主役 | 画像の中心 | ノートPC、スマホ、作品、カフェ |
| 背景 | 周りの環境 | 教室、机の上、街、イベント会場 |
| 雰囲気 | 印象 | 明るい、落ち着いた、エモい、清潔感 |
| 色 | 色の方向性 | 白、ブルー、グレー、暖色系 |
| 構図 | 配置 | 左に余白、右に主役、中央に商品 |
| 入れたくないもの | 避けたい要素 | 文字、実在ロゴ、顔、派手すぎる光 |
| 画像サイズ | 比率 | 16:9、1:1、9:16 |
3. 悪いプロンプトと良いプロンプト
悪い例
かっこいい発表画像を作ってください。
これだと、AIは何を作ればよいか迷います。
発表のテーマも、使う場所も、見せる相手も、色も、構図も分かりません。
良い例
何を作るか:
授業発表の表紙画像
どこで使うか:
Google Slidesの1枚目
誰に見せるか:
先生とクラスメイト
伝えたいこと:
AIを使った未来の働き方について、前向きに考える発表であること
主役:
ノートPCの前で考えている学生の後ろ姿
背景:
明るい教室、または未来感のある学習空間
雰囲気:
明るい、前向き、わかりやすい、少し未来感
色:
白、淡いブルー、ライトグレー
構図:
左側にタイトルを入れる余白、右側にノートPCと学生
入れたくないもの:
細かい文字、実在ロゴ、顔がはっきりした人物
画像サイズ:
16:9
このように整理すると、AIが画像を作りやすくなります。
4. 手を動かす演習1:自分のテーマを決める
ここから実際に作業します。
まず、自分が作りたい画像のテーマを1つ選びます。
テーマ候補
| 番号 | テーマ | 作る画像 |
|---|---|---|
| 1 | 授業発表の表紙を作りたい | 16:9スライド表紙 |
| 2 | SNSに勉強記録を投稿したい | 1:1正方形画像 |
| 3 | 自分のアプリを紹介したい | ポートフォリオ画像 |
| 4 | 学校イベントを告知したい | ポスター背景 |
| 5 | アルバイト先のお店を紹介したい | SNS紹介画像 |
| 6 | 自分の作品を魅力的に見せたい | 作品紹介画像 |
| 7 | 自分でテーマを決める | 自由制作 |
ワークシート1
次を埋めてください。
私が作りたい画像:
使う場所:
見せたい相手:
伝えたいこと:
画像サイズ:
記入例
私が作りたい画像:
自分で作ったアプリを紹介する画像
使う場所:
ポートフォリオサイトのトップ
見せたい相手:
採用担当者、先生
伝えたいこと:
自分がアプリ制作を学び、実際に作品を作れること
画像サイズ:
16:9
5. 手を動かす演習2:プロンプトの型を埋める
次に、先ほどの型を使って、プロンプトを作ります。
ワークシート2
何を作るか:
どこで使うか:
誰に見せるか:
伝えたいこと:
主役:
背景:
雰囲気:
色:
構図:
入れたくないもの:
画像サイズ:
記入例:ポートフォリオ画像
何を作るか:
自分で作ったアプリを紹介するポートフォリオ画像
どこで使うか:
ポートフォリオサイトのトップページ
誰に見せるか:
採用担当者、先生、クラスメイト
伝えたいこと:
学生でもアプリを企画し、画面を設計し、実装できること
主役:
スマートフォンのアプリ画面風モックアップ
背景:
机の上にノート、ペン、コードが表示されたノートPCがある
雰囲気:
清潔感、前向き、少しプロっぽい、学生らしい
色:
白、ライトグレー、淡いブルー
構図:
右側にスマートフォン、左側にタイトルを入れられる余白
入れたくないもの:
実在アプリのロゴ、細かい文字、人物の顔、派手すぎるサイバー表現
画像サイズ:
16:9
6. 手を動かす演習3:AIに入力する文章に整える
ワークシートをそのまま貼ってもよいですが、画像生成AIには文章として整えて入力すると分かりやすくなります。
整えたプロンプト例
自分で作ったアプリを紹介するポートフォリオ画像を作成してください。
この画像は、ポートフォリオサイトのトップページで使用します。
見せる相手は、採用担当者、先生、クラスメイトです。
学生でもアプリを企画し、画面を設計し、実装できることが伝わる画像にしてください。
右側にスマートフォンのアプリ画面風モックアップを配置してください。
背景には、机の上にノート、ペン、コードが表示されたノートPCがあるような雰囲気にしてください。
全体は、清潔感があり、前向きで、少しプロっぽい印象にしてください。
色は白、ライトグレー、淡いブルーを中心にしてください。
左側には、後からタイトルを入れられる余白を作ってください。
画像内に細かい文字は入れないでください。
実在アプリのロゴや企業ロゴは入れないでください。
人物の顔は入れないでください。
派手すぎるサイバー表現は避けてください。
画像サイズは16:9の横長にしてください。
作業時間
ここで、10分ほど時間を取ります。
自分のワークシートをもとに、Nano Bananaへ入力するプロンプトを完成させてください。
7. 手を動かす演習4:Nano Bananaで1回目を生成する
Google AI StudioでNano Bananaを開き、先ほど作ったプロンプトを入力します。
手順
1. Google AI Studioを開く
2. 画像生成に対応したモデルを選ぶ
3. プロンプトを入力する
4. 画像を生成する
5. 生成結果を保存する
この時点では、完璧な画像を目指さなくて大丈夫です。
まずは、AIがどのように解釈したかを確認します。
8. 手を動かす演習5:生成結果をチェックする
生成した画像を見て、良い点と直したい点を分けて書きます。
チェックリスト
| 確認項目 | ○ / △ / × | メモ |
|---|---|---|
| 使う場面に合っている | ||
| 見せたい相手に合っている | ||
| 伝えたいことが伝わる | ||
| 主役が分かりやすい | ||
| 余白がある | ||
| 色や雰囲気が合っている | ||
| 画像内に変な文字がない | ||
| 実在ロゴっぽいものがない | ||
| 人物や手が不自然ではない | ||
| 情報量が多すぎない |
ワークシート3
生成画像の良かった点:
生成画像の気になった点:
この画像をどこで使えそうか:
次に直したいこと:
記入例
生成画像の良かった点:
色が明るく、ポートフォリオ画像として使いやすそうだった。
スマートフォンのモックアップが中央にあり、作品紹介らしさが出ていた。
生成画像の気になった点:
画面内に読めない文字が少し入っていた。
左側の余白が少なく、タイトルを入れにくい。
少しサイバー感が強かった。
この画像をどこで使えそうか:
ポートフォリオサイトのトップ画像や、作品紹介スライドの表紙に使えそう。
次に直したいこと:
文字をなくす。左側の余白を広げる。全体を少し落ち着いた雰囲気にする。
9. 改善プロンプトの作り方
画像生成AIでは、1回目で完成しなくても問題ありません。
むしろ、1回目の結果を見て、改善することが大切です。
改善プロンプトでは、次の3つを入れると伝わりやすいです。
1. 残したい点
2. 直したい点
3. 追加したい条件
改善プロンプトの型
全体の方向性は良いです。
残したい点:
〇〇はそのまま残してください。
直したい点:
〇〇を修正してください。
追加したい条件:
〇〇のようにしてください。
改善プロンプト例
全体の方向性は良いです。
残したい点:
白と淡いブルーの清潔感はそのまま残してください。
スマートフォンのモックアップも残してください。
直したい点:
画像内に入っている読めない文字をなくしてください。
左側にタイトルを入れる余白をもっと広くしてください。
サイバー感が少し強いため、光の演出を控えめにしてください。
追加したい条件:
学生のポートフォリオサイトに使いやすい、自然で落ち着いた雰囲気にしてください。
10. 手を動かす演習6:改善プロンプトを作る
先ほどの生成結果を見て、自分用の改善プロンプトを作ります。
ワークシート4
残したい点:
直したい点:
追加したい条件:
改善プロンプト:
記入例
残したい点:
スマートフォンの構図、白とブルーの色
直したい点:
読めない文字、余白の少なさ、少し派手な光
追加したい条件:
学生らしい自然な雰囲気
改善プロンプト:
全体の方向性は良いです。
スマートフォンの構図と、白とブルーの色はそのまま残してください。
画像内に入っている読めない文字をなくしてください。
左側にタイトルを入れる余白をもっと広くしてください。
派手な光を抑え、学生のポートフォリオサイトに使いやすい自然な雰囲気にしてください。
11. 手を動かす演習7:2回目を生成する
改善プロンプトを使って、もう一度画像を生成します。
生成したら、1回目と2回目を見比べます。
比較するポイント
| 比較項目 | 1回目 | 2回目 |
|---|---|---|
| 目的に合っているか | ||
| 余白は増えたか | ||
| 文字は減ったか | ||
| 雰囲気は近づいたか | ||
| 使いやすくなったか |
12. 便利な使い方:プロンプトを「使い回せる型」にする
ここまで作ったプロンプトは、1回だけで終わらせるともったいないです。
少し書き換えれば、他の場面でも使えます。
使い回し例
自分で作ったアプリを紹介するポートフォリオ画像
を、
自分で作ったWebサイトを紹介するポートフォリオ画像
に変えるだけで、別の作品紹介にも使えます。
また、
右側にスマートフォン
を、
右側にノートPC
に変えれば、Webサイトやレポート紹介にも使えます。
テンプレート化したプロンプト
【用途】に使う画像を作成してください。
テーマは【テーマ】です。
見せる相手は【見せる相手】です。
この画像では【伝えたいこと】が伝わるようにしてください。
主役は【主役】です。
背景は【背景】にしてください。
全体の雰囲気は【雰囲気】にしてください。
色は【色】を中心にしてください。
構図は【構図】にしてください。
画像内に細かい文字は入れないでください。
実在ロゴや企業ロゴは入れないでください。
【入れたくないもの】は入れないでください。
画像サイズは【画像サイズ】にしてください。
13. ミニ課題
次の課題に取り組んでください。
課題内容
自分が使いたい場面を1つ選び、プロンプトの型を使って画像を生成してください。
その後、1回改善して、改善前と改善後を比較してください。
提出するもの
1. 作りたい画像のテーマ
2. 1回目のプロンプト
3. 1回目の画像
4. 改善プロンプト
5. 2回目の画像
6. 改善して良くなった点
7. まだ直したい点
提出例
1. 作りたい画像のテーマ
自分で作った家計簿アプリを紹介するポートフォリオ画像
2. 1回目のプロンプト
授業発表の表紙に使う16:9の横長画像を作成してください。
テーマは「自分で作った家計簿アプリの紹介」です。
右側にスマートフォンのアプリ画面風モックアップ、左側に余白を作ってください。
白、グリーン、ライトグレーを中心にしてください。
画像内に文字は入れないでください。
3. 1回目の画像
生成画像を貼り付ける
4. 改善プロンプト
全体の方向性は良いです。
スマートフォンの構図は残してください。
画像内の読めない文字をなくしてください。
左側の余白をもっと広くしてください。
より学生らしく、自然で清潔感のある雰囲気にしてください。
5. 2回目の画像
生成画像を貼り付ける
6. 改善して良くなった点
余白が増えて、タイトルを入れやすくなった。
色が落ち着いて、ポートフォリオに使いやすくなった。
7. まだ直したい点
スマートフォン画面の中身が少し細かすぎる。
14. この節のまとめ
この節では、失敗しにくい画像生成プロンプトの型を学びました。
重要なポイントは、次の通りです。
- プロンプトは、画像生成AIへの指示文である。
- 短すぎる指示だと、思った通りの画像になりにくい。
- 「何を作るか」「どこで使うか」「誰に見せるか」を入れると、使いやすい画像になりやすい。
- 「主役」「背景」「雰囲気」「色」「構図」を指定すると、完成イメージに近づきやすい。
- 「入れたくないもの」を指定すると、失敗を減らせる。
- 1回目で完成を目指さず、生成結果を見て改善する。
- 改善指示では、残したい点・直したい点・追加したい条件を分ける。
- 良いプロンプトは保存して、次回以降も使い回す。
次の節では、このプロンプトの型を使って、授業発表で実際に使える「16:9のスライド表紙画像」を作ります。
